住宅ローンが払えない…7つの救済措置と相談先を状況別に徹底解説
2025.07.11

「収入が減って、住宅ローンの返済が厳しい…」「このままだと滞納してしまうかもしれない」と悩んでいませんか?
住宅ローンの返済問題は、誰にでも起こりうる問題です。コロナ禍での収入減少、病気やケガによる働けない期間、会社の倒産など、予期せぬ事態は誰の身にも降りかかる可能性があります。
大切なのは、問題を放置せず、早い段階で正しい対処法を知り、行動することです。実際に、適切な救済措置を利用することで、多くの方が住宅ローンの問題を解決しています。
この記事では、利用できる救済措置の全体像から、あなたの状況に合った解決策の見つけ方まで、専門家が分かりやすく解説します。
まずは確認|住宅ローンを滞納すると、最終的にどうなるのか?
住宅ローンの滞納を放置した場合、以下のような流れで事態が進行していきます。まずは、この現実を正しく理解することから始めましょう。
1~2ヶ月滞納:督促状・電話による連絡
金融機関から督促状が届き、電話での連絡も始まります。この段階では、まだ話し合いによる解決が十分可能です。
3~6ヶ月滞納:ブラックリストへの登録、一括返済を求める「催告書」の送付
信用情報機関に事故情報が登録され、新たな借入が困難になります。また、残債の一括返済を求める催告書が送付されるケースが多くなります。
6ヶ月以降:保証会社による代位弁済、競売の申し立て
保証会社が金融機関に代わって残債を一括返済し、債権者が保証会社に移ります(これを代位弁済といいます)。その後、裁判所に競売の申し立てが行われます。
最終段階:自宅が競売にかけられ、強制的に立ち退きへ
競売が実行されると、市場価格の6~7割程度の安い価格で売却され、新しい所有者から立ち退きを求められることになります。
金融機関で相談できる住宅ローンの救済措置

最も身近で、まず相談すべき窓口が借入先の金融機関です。多くの金融機関では、顧客の状況に応じた柔軟な対応を行っています。
返済額を一時的に減らす「返済条件の変更(リスケジュール)」
返済条件の変更は、現在の返済計画を見直して、無理のない範囲での返済を可能にする制度です。
具体的な方法として、毎月の返済額を減らす、一定期間は利息のみの支払いにしてもらう、ボーナス払いの金額や時期を変更するなどがあります。例えば、月々12万円の返済を8万円に減額し、その分返済期間を延長するといった調整が可能です。
ただし、返済期間が延びることで総返済額は増加する点に注意が必要です。また、条件変更の記録が信用情報に残る場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
今より有利な条件にする「住宅ローンの借り換え」
現在より低い金利のローンに借り換えることで、月々の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。
特に、10年以上前に住宅ローンを組んだ方は、当時と比べて金利が大幅に下がっているケースが多く、借り換えによる効果が期待できます。ただし、借り換えには手数料や諸費用がかかるため、トータルでメリットがあるかどうかの計算が重要です。
また、借り換えには新たな審査が必要で、収入が減少している状況では審査に通らない可能性もあります。現在の返済状況や収入の安定性を踏まえて検討する必要があります。
自宅の売却を伴う救済措置
住み続けることが現実的に困難な場合、自宅を売却して住宅ローンの問題を解決する方法があります。競売と比べて、より有利な条件で進められる点が大きなメリットです。
市場価格に近い価格で売却を目指す「任意売却」
任意売却は、住宅ローンの残債が売却価格を上回る場合でも、金融機関の同意を得て自宅を売却する方法です。
競売と比較すると、市場価格に近い価格での売却が期待でき、売却後に残る債務も少なくなります。また、売却時期や引っ越し時期についても、ある程度の融通が利くため、生活再建の計画を立てやすくなります。
任意売却後の残債については、月々数万円程度の分割返済が認められるケースが多く、無理のない範囲での返済計画を立てることができます。ただし、任意売却には金融機関の同意が必要で、滞納から一定期間が経過していることが条件となる場合があります。
売却後も住み続ける「リースバック」
リースバックは、自宅を売却して現金を得つつ、買主と賃貸契約を結んで同じ家に住み続ける仕組みです。
子どもの学校区を変えたくない、高齢で引っ越しが困難といった事情がある場合に有効な選択肢となります。売却代金で住宅ローンを完済し、その後は家賃を支払って住み続けることになります。
ただし、売却価格は市場価格より低くなる傾向があり、家賃も周辺相場より高めに設定されることが多いです。また、将来的に買い戻す権利が保証されているわけではない点も理解しておく必要があります。
借金全体を整理する法的な救済措置

住宅ローン以外にも多額の借金がある場合や、金融機関との話し合いでは解決が困難な場合には、法的な手続きによる解決を検討する必要があります。これらの手続きには専門的な知識が必要なため、必ず弁護士や司法書士に相談しましょう。
自宅を残せる可能性のある「個人再生(住宅資金特別条項)」
個人再生は、裁判所に申し立てを行い、住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらう手続きです。住宅資金特別条項を利用することで、原則として自宅を手放さずに借金問題の解決を図ることができます。
例えば、住宅ローン以外に500万円の借金がある場合、個人再生により100万円程度まで減額される可能性があります。減額された借金は3年間で分割返済し、住宅ローンは従来通り返済を続けることになります。
ただし、安定した収入があることが条件となり、住宅ローンの滞納が続いている場合には利用できません。また、手続きが複雑で期間も長くかかるため、早めの相談が重要です。
どうしても返済が不可能な場合の「自己破産」
自己破産は、裁判所に返済不能を認めてもらい、原則として全ての借金の支払義務を免除してもらう手続きです。
住宅ローンを含む全ての借金から解放される一方で、自宅は手放すことになります。また、一定期間は新たな借入が困難になり、職業制限を受ける場合もあります。
しかし、生活に必要な最低限の財産は残すことができ、手続き後は借金に追われることなく新しい生活をスタートできます。家族への影響も限定的で、配偶者や子どもの信用情報に影響することはありません。
【状況別】あなたに最適な住宅ローン救済措置の選び方チャート
あなたの状況に応じて、最適な救済措置を選ぶためのガイドラインをご紹介します。
CASE1:一時的に収入が減っただけ → まずは金融機関へ返済条件の変更を相談
病気やケガ、一時的な失業などで収入が減少したものの、近い将来に回復の見込みがある場合です。この場合は、借入先の金融機関に返済条件の変更を相談することから始めましょう。返済額の減額や返済期間の延長により、収入回復までの期間を乗り切ることができます。
CASE2:今後も収入の回復が見込めない → 任意売却やリースバックを検討
転職による大幅な収入減、定年退職、事業の廃業など、今後も従来の収入水準に戻ることが困難な場合です。住み続けることにこだわらないのであれば任意売却を、同じ家に住み続けたい事情があればリースバックを検討しましょう。
CASE3:住宅ローン以外の借金も多い → 弁護士に相談し、個人再生や自己破産を検討
クレジットカードの借金、消費者金融からの借入など、住宅ローン以外にも多額の債務がある場合です。借金の総額や収入の状況に応じて、個人再生または自己破産を検討する必要があります。必ず弁護士に相談し、最適な手続きを選択しましょう。
CASE4:とにかく今の家に住み続けたい → 個人再生、または金融機関への相談から
子どもの学校や介護の関係で、どうしても今の家を手放したくない場合です。まずは金融機関に返済条件の変更を相談し、それでも解決が困難であれば個人再生の利用を検討しましょう。ただし、個人再生には一定の条件があるため、弁護士への相談が不可欠です。
救済措置の相談先と選び方のポイント

どこに相談すれば良いか分からない方のために、相談先ごとの特徴と、どんな場合にどの専門家を選ぶべきかを解説します。
借入先の金融機関
住宅ローンの返済に不安を感じたら、まず相談すべきは借入先の金融機関です。返済条件の変更や借り換えの相談が可能で、多くの金融機関では専用の相談窓口を設けています。
相談の際は、現在の収入状況や家計の詳細を正直に伝えることが重要です。隠し事をせず、今後の見通しも含めて率直に話すことで、最適な解決策を提案してもらえる可能性が高まります。
弁護士・司法書士
任意売却、個人再生、自己破産など、法的な手続きや金融機関との交渉が必要な場合の専門家です。特に、住宅ローン以外の借金も抱えている場合や、金融機関との話し合いが難航している場合には、早めに相談することをお勧めします。
弁護士と司法書士では取り扱える業務の範囲が異なるため、自分の状況に応じて適切な専門家を選ぶことが大切です。債務整理の経験が豊富な専門家を選ぶことで、より良い結果が期待できます。
任意売却を専門とする不動産会社
任意売却を具体的に進めたい場合のパートナーとなる専門業者です。金融機関との交渉力や不動産の販売力が重要なポイントとなります。
任意売却の実績が豊富で、金融機関との関係が良好な業者を選ぶことが成功の鍵となります。また、売却後の残債の返済計画についても相談に乗ってくれる業者を選ぶと安心です。
法テラス・自治体の無料相談窓口
専門家への相談費用がない場合に利用できる公的機関です。法テラスでは、収入や資産が一定額以下の方を対象に、無料の法律相談や弁護士費用の立替制度を提供しています。
また、多くの自治体でも無料の法律相談窓口を設けており、住宅ローンの問題についても相談することができます。まずは気軽に相談してみることから始めてみましょう。
【まとめ】住宅ローンの悩みは、一人で抱え込まずに今すぐ相談を
住宅ローンの返済に困ったとき、最も大切なのは問題を先送りにしないことです。滞納が長期化するほど選択肢は狭まり、解決も困難になってしまいます。
この記事でご紹介した7つの救済措置は、それぞれ異なる状況に対応できる有効な解決策です。あなたの状況に最も適した方法を見つけるためには、専門知識を持つ第三者への相談が不可欠です。
一人で悩んでいても解決策は見つかりません。まずは借入先の金融機関に相談し、必要に応じて弁護士や専門業者のサポートを受けることで、必ず解決の道は開けます。
今すぐ行動を起こすことで、あなたとご家族の未来を守ることができます。勇気を出して、最初の一歩を踏み出してください。
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