競売開始決定通知が届いたら?無視は危険!流れとやるべき対処法を解説
2025.08.07

住宅ローンの返済が苦しくなり、ついに「競売開始決定通知」という重要な書類が届いてしまった。頭の中が真っ白になり、どうしていいか分からない状態かもしれません。
この記事では、競売開始決定通知が届いた方に向けて、その意味と今後の流れ、そして最も重要な対処法について詳しく解説します。特に、競売よりも有利な条件で解決できる可能性がある「任意売却」という選択肢について、具体的なメリットとデメリットを交えてお伝えします。
まずは落ち着いてください。競売開始決定通知が届いても、まだ打つ手はあります

競売開始決定通知が届いた瞬間、多くの方がパニックになってしまいます。「もう家を失うしかない」「人生が終わった」と絶望的な気持ちになるのは当然の反応です。しかし、この通知が届いても、まだ状況を改善する方法は残されています。
重要なのは、現実から目を逸らすことなく、冷静に対処法を検討することです。確かに時間的な制約はありますが、適切な専門家のサポートを受けながら行動すれば、競売よりも有利な条件で問題を解決できる可能性があります。
「競売開始決定通知」とは?なぜ自宅に届いたのか

住宅ローンの滞納により届いたこの通知書は、あなたの人生を大きく左右する重要な書類です。この通知が何を意味し、なぜあなたの手元に届いたのかを正確に理解することは最初の一歩です。
裁判所が「あなたの家を競売にかけます」と宣言する公的な書類です
競売開始決定通知とは、裁判所が発行する正式な法的書類で、担保となっている不動産(主に住宅)を強制的に売却する手続きを開始することを債務者に知らせるものです。
この通知書には、事件番号、担当裁判所、競売にかけられる不動産の詳細、そして今後のスケジュールなどが記載されています。封筒には「特別送達」の文字が印刷されており、受け取りを拒否することはできません。
多くの場合、住宅ローンの返済が滞り、金融機関が抵当権を実行することで発生します。つまり、あなたが住宅ローンの契約時に設定した担保権を、銀行が行使する手続きが始まったということを意味しています。
ローン滞納から通知が届くまでの基本的な流れ
住宅ローンの滞納が始まってから競売開始決定通知が届くまでには、一般的に以下のような段階があります。
まず、返済が1〜2か月遅れると、金融機関から電話や書面での督促が始まります。この段階では、まだ分割返済の相談に応じてもらえる可能性があります。
3〜6か月程度の滞納が続くと、「期限の利益の喪失通知」が送られてきます。これは、分割返済の権利を失い、残債を一括で返済するよう求める通知です。
さらに、代位弁済(保証会社による肩代わり)が実行され、債権者が金融機関から保証会社に移ります。その後、保証会社が裁判所に競売申立てを行い、約1〜2か月後に競売開始決定通知が発送されるという流れになります。
危険!競売開始決定通知を無視し続けるとどうなる?最悪のシナリオとは

「とりあえず無視していれば何とかなるだろう」「まだ時間があるから大丈夫」そんな風に考えてしまう気持ちは理解できます。
しかし、競売手続きは法的な強制力を持つため、無視していても自動的に進行してしまいます。ここでは、何も対処しなかった場合に起こる具体的な流れと、その深刻な結果について詳しく解説します。
1. 現況調査:裁判所の執行官が自宅を訪問
競売開始決定通知を無視していても、手続きは粛々と進行します。通知から約1〜2か月後には、裁判所の執行官と不動産鑑定士が現況調査のために自宅を訪問します。
この調査は法的な手続きの一環であり、居住者の同意なく実施されます。外観の撮影、間取りの確認、建物の状態などが詳細に記録され、これらの情報は後に入札者に公開されることになります。
調査を拒否したり、居留守を使ったりしても、執行官は鍵を開けて内部に立ち入る権限を持っています。この段階で、近所の人々に競売の事実が知られてしまう可能性が高くなります。
2. 期間入札の開始:情報が公開され、誰でも入札可能に
現況調査が完了すると、裁判所のウェブサイトや新聞などで競売情報が公開されます。物件の詳細情報、入札期間、開札日などが広く周知され、誰でも入札に参加できる状態になります。
この時点で、あなたの住所や建物の写真、間取りなどの個人情報が完全に公開されてしまいます。インターネット上では半永久的に情報が残る可能性もあり、プライバシーの保護は期待できません。
入札期間は通常1週間程度で、その間に最高価格をつけた入札者が落札者となります。売却価格は市場価格の6〜7割程度になることが多く、本来得られるはずの利益を大幅に失うことになります。
3. 売却・立ち退き:強制的に家を失う
開札によって落札者が決定されると、所有権は新しい所有者に移転します。この時点で、あなたは法的に住む権利を失い、立ち退きを求められることになります。
任意に退去しない場合は、強制執行による立ち退きが実行されます。この場合、家財道具も含めて強制的に撤去され、その費用は債務者の負担となります。
立ち退きの際の引越し費用や新しい住居の確保も、すべて自己負担となります。競売では、これらの費用を考慮した交渉の余地は一切ありません。
4. 多額の残債:家を失っても借金は残る可能性
最も深刻な問題は、競売によって住宅を失っても、住宅ローンの残債が完全に消えるとは限らないことです。競売での売却価格が残債を下回る場合、その差額は引き続き返済義務が残ります。
例えば、3000万円の住宅ローン残高がある物件が2000万円で競売落札された場合、1000万円の債務が残ることになります。この残債に対しても、債権者は返済を求め続けます。
住む場所を失った上に借金だけが残るという、最悪の状況に陥る可能性があります。このような事態を避けるためにも、競売になる前に適切な対処法を検討することが重要です。
競売開始決定通知が届いたらやるべきこと|任意売却という選択肢も

競売を避ける手段の一つとして、「任意売却」という選択肢があります。
多くの人が知らないこの方法は、競売と比べて圧倒的に有利な条件で問題を解決できる可能性を秘めています。ここでは、その具体的なメリットと進め方について詳しく説明します。
解決策の比較:競売 vs 任意売却
競売開始決定通知が届いた場合の主な選択肢として、競売と任意売却があります。両者の違いを明確に理解することで、より有利な選択ができます。
項目 | 競売 | 任意売却 |
---|---|---|
売却価格 | 市場価格の6〜7割 | 市場価格の8〜9割 |
情報公開 | 完全公開(住所・写真等) | 通常の売却と同様 |
残債交渉 | 不可(強制回収) | 分割返済等の交渉可能 |
引越し時期 | 強制執行による即時退去 | 相談により調整可能 |
引越し費用 | 全額自己負担 | 売却代金から捻出可能 |
近所への影響 | 競売情報が公開される | 通常の売却と同じ |
この比較からも分かるように、任意売却は競売と比べて圧倒的に有利な条件で問題を解決できる可能性があります。
任意売却の3つの大きなメリット
任意売却には、競売にはない大きなメリットが3つあります。
まず、市場価格に近い金額で売却できる可能性があることです。競売では市場価格の6〜7割程度になることが多いのに対し、任意売却では8〜9割程度での売却が期待できます。この差額は数百万円になることも珍しくありません。
次に、近所に知られずに売却を進められることです。競売では裁判所のウェブサイトで情報が公開されるため、近隣住民に状況が知られてしまいます。一方、任意売却は通常の不動産売却と同様に進められるため、プライバシーを保護できます。
最後に、残ったローンの分割返済など柔軟な交渉が可能なことです。競売では残債の一括返済を求められますが、任意売却では債権者と交渉して分割返済の条件を決めることができます。月々の返済額を現在の収入に合わせて調整してもらえる場合もあります。
注意点:任意売却にもタイムリミットがある
任意売却は競売よりも有利な解決策ですが、いつまでも可能というわけではありません。一般的に、競売の開札日の前日までが任意売却の実行期限となります。
競売開始決定通知から開札日までの期間は、通常4〜6か月程度です。この期間内に、債権者との交渉、買主の確保、売買契約の締結などをすべて完了させる必要があります。
特に、債権者(金融機関や保証会社)との交渉には時間がかかることが多く、早めの着手が不可欠です。また、不動産の売却活動も通常の売却と同様に時間を要するため、通知が届いたらすぐに専門家に相談することをお勧めします。
競売・任意売却に関するよくある質問(Q&A)

Q. 相談するのにお金はかかりますか?
多くの不動産会社や専門機関では、競売・任意売却に関する初回相談を無料で受け付けています。相談料が心配で相談をためらう必要はありません。
任意売却が成功した場合の仲介手数料は、一般的に売却代金から支払われます。つまり、手持ちの現金がなくても任意売却を進めることが可能です。
ただし、弁護士に法的な手続きを依頼する場合は、別途費用が発生する可能性があります。相談時に、費用の詳細について必ず確認しておきましょう。
Q. 家族や会社に知られてしまいますか?
任意売却の場合、通常の不動産売却と同様に進められるため、必要以上に情報が公開されることはありません。近所の人や会社の同僚に知られる可能性は低いといえます。
ただし、家族(配偶者等)が連帯保証人になっている場合は、債権者から直接連絡が入る可能性があります。また、売却には所有者全員の同意が必要なため、共有名義の場合は家族に事実を伝える必要があります。
専門家に相談する際は、どの範囲まで秘密を保持できるか、事前に確認しておくことが重要です。
Q. 引っ越しの費用は捻出できますか?
任意売却では、売却代金の中から引っ越し費用を捻出できる場合があります。債権者との交渉により、一定額の引っ越し費用を残してもらえる可能性があります。
一般的に、30〜100万円程度の引っ越し費用を認めてもらえるケースが多いですが、債権者の方針や残債の金額によって異なります。
競売の場合は、このような費用を考慮してもらえないため、任意売却の大きなメリットの一つといえるでしょう。
Q. 弁護士と不動産会社、どちらに相談すべきですか?
任意売却を検討している場合は、任意売却に特化した不動産会社への相談をお勧めします。不動産の売却活動と債権者との交渉を一貫して行えるため、スムーズに手続きを進められます。
弁護士は法的な手続きに強いですが、不動産売却の実務経験が豊富とは限りません。一方、任意売却専門の不動産会社は、債権者との交渉ノウハウと売却実績の両方を持っています。
ただし、法的な問題が複雑な場合や、債権者が多数いる場合などは、弁護士のサポートも必要になる可能性があります。まずは不動産会社に相談し、必要に応じて弁護士を紹介してもらうという流れが効率的です。
まとめ:一人で悩まず、今すぐ専門家へ相談を
競売開始決定通知が届いても、まだ諦める必要はありません。適切な対処法を選択することで、より有利な条件で問題を解決できる可能性があります。
特に任意売却は、競売と比べて売却価格、プライバシーの保護、残債の返済条件など、あらゆる面で有利な選択肢です。しかし、成功させるためには専門的な知識と経験が必要であり、時間的な制約もあります。
一人で悩んでいても状況は改善しません。まずは任意売却の専門家に相談し、あなたの状況に最適な解決策を見つけてください。相談は無料で受けられることが多いので、まずは現状を正確に把握することから始めましょう。
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