任意売却の引っ越し費用は誰が負担?費用がない時の捻出方法と相場を徹底解説
2025.09.05

任意売却を考えているけれど、「次の住まいに移るための引っ越し費用がない…」と悩んでいませんか?住宅ローンの返済が厳しい状況では、まとまった費用を準備するのは難しいものです。
しかし、ご安心ください。任意売却では、引っ越し費用を捻出できるケースがほとんどです。
この記事では、任意売却の引っ越し費用は誰が負担するのか、費用の相場、そして手元にお金がなくても費用を工面するための具体的な方法を分かりやすく解説します。
結論:任意売却の引っ越し費用は売却代金から捻出できる可能性が高い
任意売却において引っ越し費用は、債権者との交渉により売却代金から差し引かれる形で確保できるケースが大半を占めています。住宅ローンの滞納で困窮している状況でも、新生活をスタートするための資金を手にできる点が任意売却の大きなメリットといえるでしょう。
なぜ債権者は引っ越し費用を認めてくれるのか?
債権者である金融機関にとって、任意売却をスムーズに進めることは大きなメリットがあります。競売では市場価格の6~7割程度でしか売却できないのに対し、任意売却なら市場価格に近い金額での売却が期待できるためです。
その結果、より多くの債権を回収できることから、売却を円滑に進める協力費用として引っ越し費用が認められやすい仕組みになっています。債権者は「少しでも多く回収したい」という想いがあるため、任意売却への協力姿勢を示してくれることが多いのです。
引っ越し費用は「もらえる」のではなく「控除される」
「引っ越し費用がもらえる」と聞くと、現金が支給されるような印象を受けるかもしれません。しかし実際は、不動産の売却代金の中から、債権者の合意を得て必要な費用を差し引かせてもらうという仕組みです。
売却代金から住宅ローンの残債を返済した後に余剰があったとしても、その全額が手元に残るわけではありません。あくまで債権者との交渉により、生活再建に必要な最低限の費用として認めてもらう性質のものであることを理解しておきましょう。
【任意売却】引っ越し費用を捻出する4つの方法

手元に引っ越し費用がない状況でも、複数の方法を組み合わせることで必要な資金を確保できる可能性があります。事前に選択肢を把握し、ご自身の状況に最適な方法を検討してみてください。
方法1:売却代金からの控除(最も一般的な方法)
任意売却を依頼する不動産会社を通じて、債権者と引っ越し費用の交渉を行う方法です。これが最も現実的で一般的なアプローチといえるでしょう。
専門家が債権者に対し、任意売却を成功させるために必要な協力費用として引っ越し代を認めてもらうよう働きかけます。交渉は複雑で専門的な知識が必要なため、実績豊富な任意売却専門の不動産会社に依頼することが成功の鍵となります。
方法2:公的な支援制度の活用
経済的に困窮している方を対象とした公的支援制度を活用する選択肢もあります。代表的なものが「住宅確保給付金」で、家賃相当額の支給を受けることで住居費の負担を軽減できます。
対象となる条件は自治体によって異なりますが、離職や収入減少により住居を失う恐れがある方が主な対象です。お住まいの地域の自立相談支援機関や福祉事務所に相談することで、利用可能な制度について詳しい案内を受けられるでしょう。
方法3:親族からの借入れ
一時的に親族から支援を受けて引っ越し費用を工面する方法もあります。ただし、金銭の貸し借りは後々のトラブルの原因になりやすいため、誠実な相談が欠かせません。
借入れの条件や返済方法について事前にしっかりと話し合い、可能であれば書面に残しておくことをおすすめします。感情的な負担を避けるためにも、お互いが納得できる形での支援をお願いしましょう。
方法4:不用品の売却
引っ越しと同時に家財を整理し、不用品を売却して費用の一部に充てる方法も有効です。家電製品、家具、衣類、書籍など、新居で使わないものは積極的に現金化を検討してみてください。
フリマアプリやリサイクルショップ、買取専門店など、売却先は多岐にわたります。時間に余裕がある場合は複数の方法を併用することで、より多くの資金を確保できる可能性があります。
任意売却で引っ越し費用の交渉を成功させるための3つのポイント

債権者との交渉を有利に進めるためには、戦略的なアプローチが必要です。以下のポイントを押さえることで、引っ越し費用の確保につながりやすくなるでしょう。
ポイント1:信頼できる任意売却の専門家に早めに相談する
債権者との交渉は専門的な知識と豊富な経験が必要な分野です。任意売却の実績が豊富な不動産会社に依頼することが、円滑な交渉を進める最も重要な要素といえます。
専門家は債権者の立場や考え方を理解しており、どのような提案なら受け入れてもらいやすいかを熟知しています。早い段階で相談することで、より多くの選択肢を検討でき、最適な解決策を見つけられる可能性が高まるでしょう。
ポイント2:引っ越し費用の見積もりを具体的に提示する
「○○円必要です」と口頭で伝えるだけでは、債権者の理解を得るのは困難です。複数の引っ越し業者から取得した見積書を提示することで、費用の妥当性を客観的に証明できます。
3社程度から見積もりを取り、その中でも現実的な金額を交渉材料として使用することが効果的です。具体的な根拠があることで、債権者も納得しやすくなり、交渉が有利に進む可能性が高くなります。
ポイント3:債権者に対し誠実な対応を心がける
支払いが困難になった経緯を正直に伝え、任意売却による解決に協力的であることを示す姿勢が重要です。債権者も人間ですから、誠実な対応には理解を示してくれることが多いものです。
隠し事をしたり、責任転嫁をしたりするような態度は逆効果になります。現在の状況を包み隠さず説明し、前向きに解決しようとする意志を伝えることで、相手の協力を得やすくなるでしょう。
注意!任意売却で引っ越し費用が捻出できないケース

すべての任意売却で引っ越し費用が確保できるわけではありません。以下のようなケースでは、費用の捻出が困難になる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
税金の滞納額が多すぎる
固定資産税や住民税などの税金を長期間滞納している場合、これらの支払いが優先され、引っ越し費用が認められない可能性があります。税金は住宅ローンよりも優先される債権のため、滞納額が多いと売却代金の大部分が税金の返済に充てられてしまいます。
滞納している税金がある場合は、早めに税務署や市区町村の担当部署に相談し、分割納付などの対応策を検討することが重要です。放置していると状況はさらに悪化してしまうため、専門家と連携して対処法を模索しましょう。
債権者の合意が得られない
すべての債権者が交渉に応じてくれるとは限りません。特に複数の金融機関から借り入れがある場合や、保証会社が関与している場合など、利害関係者が多いほど交渉は難航しがちです。
一つの債権者が引っ越し費用に同意しても、他の債権者が反対すれば実現は困難になります。このような状況では、より多くの債権者にメリットを示せるよう、売却価格の向上や販売期間の短縮などの提案が必要になることもあります。
悪徳業者からの不当な提案
「引っ越し費用として100万円保証します」など、過度に甘い言葉で誘う悪徳業者にご注意ください。このような業者は高額なコンサルティング料を請求したり、実際には約束を守らなかったりするケースが報告されています。
任意売却で確保できる引っ越し費用には現実的な限度があります。相場を大きく上回る金額を約束するような業者は避け、実績と信頼性を重視して専門家を選ぶことが大切です。
任意売却の引っ越し費用に関するよくある質問

Q. 競売だと引っ越し費用は出ませんか?
はい、競売では立ち退き費用(引っ越し費用)は一切支給されません。裁判所による強制執行により退去を命じられるため、すべての費用を自己負担で準備する必要があります。
さらに競売では、退去のタイミングを自分で決められないため、準備期間も限られてしまいます。費用面でも精神面でも、任意売却の方が圧倒的に有利な選択肢といえるでしょう。
Q. 引っ越し費用の交渉はいつ始めるべきですか?
任意売却を専門家に依頼し、販売活動を開始する前の段階で、引っ越し費用についても相談・交渉を開始するのが一般的です。早い段階から債権者との調整を進めることで、売却完了時にスムーズに費用を確保できます。
売却活動が始まってから交渉を開始すると、債権者との調整に時間がかかり、購入希望者を待たせてしまう可能性もあります。事前の準備が成功の鍵となるため、専門家と早めに相談することをおすすめします。
Q. 敷金や礼金、当面の生活費も交渉できますか?
交渉次第では、引っ越し費用に加えて新居の初期費用(敷金・礼金)や、当面の生活費の一部が手元に残るケースもあります。これらは「生活再建費」として債権者に理解を求めることになります。
ただし、債権者の方針や売却価格によって対応は変わるため、必ず認められるわけではありません。過度な期待は禁物ですが、生活再建に必要な範囲であれば交渉の余地があることも事実です。専門家と相談しながら、現実的な範囲での交渉を進めることが重要でしょう。
まとめ:一人で悩まず、まずは専門家へ相談を
この記事の要点を整理します。
- 任意売却の引っ越し費用は、債権者との交渉により売却代金から捻出できる可能性が高い
- 費用を捻出するには、公的支援の活用や専門家を通じた交渉が重要
- 競売と違い、任意売却は新生活への資金を確保しやすいメリットがある
経済的な不安から一歩が踏み出せない状況は、非常にお辛いことと存じます。しかし、任意売却は、あなたの新しい生活を始めるための前向きな解決策です。
一人で抱え込まず、まずは信頼できる専門家へ相談することから始めてみてください。あなたの状況に合わせた最適な方法を一緒に見つけてくれるはずです。