相談者プロフィール
相談者の情報
永井孝之さん(仮)、46歳、埼玉県越谷市在住。
自動車部品メーカーの品質管理課係長として勤務(勤続24年)。
年収約430万円。
妻(44歳・パート勤務)、長女(17歳・高校2年生)、長男(13歳・中学1年生)、実母(74歳・要介護1)の5人家族。
物件・ローンの情報
2012年に新築建売戸建て(4LDK)を3,580万円で購入。
住宅ローン残債は約2,280万円。月々の返済は約10万6,000円。
ほかにカードローンの借入が約30万円。
ご相談の内容
永井さんは2012年、当時34歳のときに越谷市内に4LDKの建売戸建てを購入しました。「子どもたちをこの街で育てたい」という思いからの決断で、妻の美穂さんが独身時代の貯蓄から280万円を頭金として出してくれました。購入当時は世帯収入も安定しており、月々約10万6,000円のローン返済は無理のない計画でした。
しかし2020年頃から、勤務先の業績悪化で残業がほぼなくなり、年収は520万円台から430万円台にまで落ち込みました。さらに2024年には社内の人事制度改定により役職手当も減額されています。同じ時期に、妻の美穂さんが椎間板ヘルニアを患い、フルタイムのパートから週4日・短時間勤務に切り替えざるを得なくなりました。世帯の月収は手取りで5〜6万円ほど減り、子どもたちの習い事を一つずつやめさせるなど、徐々に家計を切り詰める日々が続きました。
2023年秋には同居する実母の節子さんが軽い脳梗塞で入院。幸い後遺症は軽度でしたが、要介護1の認定を受け、デイサービスの利用が始まりました。入院費で貯蓄が大きく減り、介護にかかる月々の負担も約2万円増えました。この時点で預貯金は90万円ほどにまで減っていたそうです。
そして2024年7月、住宅ローンの引き落としが初めて残高不足で落ちませんでした。翌月に遅れて入金したものの、9月にも再び引き落としができず、銀行から連絡が入りました。電話を受けたのは妻の美穂さんでした。永井さんは、実はその数ヶ月前から生活費の不足を補うためにカードローンで約30万円を借り入れており、妻にはそのことを伝えられずにいました。
11月、12月と2ヶ月連続で住宅ローンを滞納し、銀行から届いた書面には「期限の利益喪失」や「法的手続きへの移行」といった文言が記されていました。年末年始、永井さんは家族に状況を隠したまま過ごしましたが、正月に長女から「お父さん最近ずっと元気ないね」と言われ、言葉に詰まったそうです。
2025年1月、永井さんは妻にすべてを打ち明けました。カードローンのことも含めて話すと、美穂さんはしばらく黙ったあと、「なんでもっと早く言ってくれなかったの」と小さな声で言ったそうです。その後二人で銀行に返済条件の見直しを相談しましたが、根本的な解決にはつながりませんでした。
永井さんはその後、夜中にスマホで「住宅ローン 払えない」「競売 近所にバレる」などと繰り返し検索するようになりました。競売になれば裁判所の執行官が家に来ること、物件情報がインターネットに掲載されることを知り、「それだけは避けたい」という思いが強くなっていったといいます。夜中の2時、3時に目が覚めてそのまま眠れない日が続き、仕事中の集中力も落ちていきました。
相談を決意したのは、長女の結衣さんが「お母さん、私、大学は奨学金で行くから。心配しないで」と言った日でした。自分が家にしがみつくことで家族全員を追い詰めていると気づいた永井さんは、妻と相談のうえ、インターネットで見つけた任意売却の専門相談窓口にメールで問い合わせました。電話する勇気が出ず、メールの本文はわずか4行だったそうです。
相談所からのご提案・解決までの流れ
初回の面談では、まず永井さんご夫婦のお話をじっくり伺いました。永井さんは「家を売っても残債は一括で返さなければならないのでは」「任意売却をすると会社や近所に知られるのでは」といった不安を抱えておられました。また、要介護の実母を連れての引っ越しは現実的に不可能だとも思い込んでおられました。まず、これらの誤解を一つひとつ丁寧に解消するところから始めました。
物件の査定を行ったところ、市場での売却想定価格は約1,900〜2,000万円で、ローン残債の約2,280万円を下回るオーバーローンの状態でした。債権者である銀行との交渉を開始し、任意売却の同意を取り付けたうえで、売却活動に入りました。
売却活動と並行して、永井さんご家族の転居先についても一緒に検討しました。最も重視したのは、長男の翔太さんが転校せずに済むよう同じ学区内で賃貸物件を探すこと、そして実母の節子さんが引き続き同じデイサービスに通える範囲内であることの2点でした。最終的に、自宅から徒歩15分ほどの3LDKの賃貸アパート(家賃約7万8,000円)が見つかりました。
物件は約1,950万円で買い手が見つかり、債権者との交渉により、売却代金から引っ越し費用として20万円を控除することが認められました。残債の約330万円については、永井さんの現在の収入状況を踏まえ、月額1万円からの分割返済で合意を得ることができました。カードローンの約30万円についても、専門家と連携して整理の方向性をつけました。
相談から売却完了までは約4ヶ月。引き渡し時期も新学期前の3月末に調整し、ご家族の生活への影響を最小限に抑えることができました。
相談者の声

最初にメールを送ったとき、正直なところ半信半疑でした。ネットで「任意売却は怪しい業者が多い」という記事も目にしていたので、どこに相談すればいいのかもわかりませんでした。でも、翌日に届いた返信がとても丁寧で、「まずはお話を聞かせてください」という一言で少しだけ気持ちが楽になりました。
一番の誤解は、「家を売ってもローンが残ったら、その分を一括で請求される」と思い込んでいたことです。残債を月々1万円から返済できると聞いたときは、本当に驚きました。それだけで家計の見通しがまったく変わりました。
あと、母の介護があるので引っ越しは無理だと決めつけていたのですが、担当の方が「同じ地域で、お母様のデイサービスも続けられる物件を一緒に探しましょう」と言ってくれて、そういう方法もあるのかと目が開ける思いでした。実際に近所で物件が見つかり、母も環境の変化は最小限で済みました。
妻には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。独身時代の貯金から頭金を出してくれたのに、結局その家を手放すことになってしまいました。ただ、妻は「家より家族の健康のほうが大事だから」と言ってくれました。住む場所は変わりましたが、以前より月々の支払いが減ったことで、少しずつですが生活に余裕が出てきています。娘には大学進学を諦めさせたくないので、これから頑張って支えていきたいと思っています。
もしあのとき相談していなかったら、競売になって近所や会社に知られていたかもしれません。もっと早く相談すればよかったというのが、一番の後悔です。
担当者のコメント

永井さんは初回の面談で約束の20分前に到着されていましたが、なかなか入室できずにおられたようでした。それだけ大きな決断だったのだと思います。面談中も最初は言葉少なでしたが、奥様が横で頷きながら話を聞いてくださったことで、少しずつご自身の状況を話してくださいました。
今回のケースで特に配慮したのは、ご高齢のお母様の生活環境を維持することと、お子様の学校生活に影響を出さないことの2点です。任意売却というと「家を失う」というイメージが先行しがちですが、転居先の選定から引っ越し時期の調整まで含めて対応できるのが、競売との大きな違いです。
永井さんのように、収入の減少と介護の負担が同時に重なるケースは決して珍しくありません。特に40代〜50代の方は、住宅ローンの返済と親の介護、子どもの教育費が同時にのしかかる世代です。一人で抱え込んで滞納を重ねるほど、取れる選択肢は狭まっていきます。「まだ何とかなるかもしれない」と思っている段階でご相談いただければ、より多くの選択肢をご提案できます。どうか一人で悩まず、早めにお声がけください。
