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自営業の失敗と税金滞納。差押通知が届き、絶望の中で息子に支えられながら相談を決意。

任意売却

相談者様のプロフィール

相談者の情報
小川明美さん(仮)、52歳、埼玉県さいたま市見沼区在住。
元自営業(雑貨店経営15年)で、現在は求職中。
8年前に離婚し、長男・拓也さん(28歳・会社員、別居)、次男・大輔さん(25歳・フリーター、同居)との3人家族。
店舗経営時の年収は約350万円でしたが、閉店後は貯金を切り崩して生活していました。

物件・ローンの情報
2009年に購入した築24年のマンション(3LDK、70㎡)。
離婚時に夫から名義を単独に変更し、住宅ローン残債約980万円を引き継ぎました。
月々の返済は約8万円。現在の査定額は約1,100万円前後。
固定資産税約25万円、住民税約18万円、国民健康保険料約32万円の合計約75万円を滞納し、不動産差押通知書が届いていました。

ご相談の内容

明美さんは、8年前の離婚後、子どもたちを育てるために長年の夢だった雑貨店を開業しました。最初の3年間は順調でしたが、近隣に大型ショッピングモールがオープンし、ネット通販の普及も重なって客足が激減しました。売上は月60万円から30万円程度にまで落ち込み、赤字の月も出始めました。

住宅ローンの支払いを優先し、国民健康保険料や住民税、固定資産税を後回しにするようになりました。来月は売上が回復すると自分に言い聞かせ、税金の督促状は見て見ぬふりをしました。コロナ禍で客足はさらに減少し、店舗家賃7万円が重くのしかかりました。2年前、ついに店を閉めることを決断しましたが、カードローンの残債約120万円が残りました。

閉店後すぐに就職活動を始めましたが、52歳で15年間自営業だった自分を雇ってくれるところは見つかりませんでした。派遣やパートの面接も落ち続け、心が折れそうになりました。貯金を切り崩して生活する日々が続き、税金の滞納額は膨らむ一方でした。役所から督促状が届くたびに、封筒を開けるのが怖くなりました。差押予告という文字を見たとき、体が震えました。

6ヶ月前、役所から不動産差押通知書が届きました。固定資産税の滞納により、マンションが差し押さえられたという内容でした。手が震えて、通知書をうまく持てませんでした。次男に見せると顔が青ざめ、これどういうこと、家を取られちゃうのと聞かれました。その夜、母子二人で台所のテーブルで向き合い、今まであまり心配をかけたくなくて詳しく話していなかったことを、全て打ち明けました。

次男から連絡を受けた長男が週末に実家に来てくれました。長男は会社員として安定した収入がありましたが、結婚を控えており、多額の援助は難しい状況でした。専門家に相談しようと長男が任意売却について調べてくれましたが、差押がある物件は任意売却できないという情報を見つけ、絶望しました。公売になったら二束三文で売られるという記事を読み、眠れなくなりました。

このマンションは、離婚後に子どもたちと必死で守ってきた場所でした。でも、このまま滞納を続けても解決しないことも分かっていました。長男が探してくれた任意売却専門の相談窓口のパンフレットに、税金滞納・差押案件も対応可能という文字を見つけました。電話する勇気が出ませんでしたが、次男が一緒に行くからと背中を押してくれ、震える手で電話をかけました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

ご相談を受けた際、まず明美さんと次男さんから現在の状況を丁寧に伺いました。不動産差押通知書の内容を確認し、役所との交渉の可能性や任意売却の進め方について分かりやすくご説明しました。特に、差押がある物件でも任意売却は可能であること、公売になる前に対応すれば選択肢があることをお伝えし、誤解を解消しました。

まず役所の担当部署に連絡を取り、任意売却による納税計画を提案しました。売却代金から滞納税金を優先的に納付することで、差押を解除してもらえるよう交渉を進めました。並行して、住宅ローンの債権者である銀行にも状況を説明し、任意売却への同意を得ました。

次男さんの生活への影響を最小限にするため、できるだけ近隣エリアで家賃の安い賃貸物件を探すサポートも行いました。売却活動は、住宅ローン残債と滞納税金の合計を上回る価格で買主を見つけることを目標としました。幸い、マンションは駅から近く生活利便性が高かったため、売却活動開始から約4ヶ月で買主が見つかり、売却価格は1,150万円となりました。

売却代金から住宅ローン残債約980万円を完済し、滞納税金約75万円を全額納付しました。残った資金から引っ越し費用を捻出し、カードローンの返済にも一部充当することができました。役所への納税により差押も解除され、無事に所有権を買主へ移転することができました。新居は同じ市内の2DKの賃貸アパートで、家賃は5万5千円と従来の住宅ローンより負担が軽減されました。

相談者の声

相談する前は、差押された物件はもう任意売却できないと思い込んでいました。ネットで調べた情報では、税金滞納は自己破産しても消えないと書いてあり、もう何をしても無駄だと諦めていました。相談所に行くことも、自分の至らなさを責められるのではないかと怖くて、長男に背中を押されるまで決断できませんでした。

担当者の方は私を責めることなく、よくここまで頑張ってこられましたねと言ってくれました。その言葉で、初めて一人で抱え込まなくていいんだと思えました。差押があっても任意売却できること、公売になる前なら選択肢があることを教えていただき、少しずつ希望が見えてきました。

売却までの4ヶ月間は不安もありましたが、担当者の方が定期的に進捗を報告してくださり、役所との交渉も代わりにしてくださったので、安心してお任せできました。売却代金で税金を全額納付でき、差押も解除されたときは、肩の荷が下りた気がしました。カードローンの返済にも充てることができ、残債は月々無理のない金額で返済しています。

新しいアパートは家賃が安く、次男と二人で暮らすには十分な広さです。生活費の負担が減ったことで、再就職活動にも前向きに取り組めるようになりました。先月、ようやくパートの仕事が見つかり、少しずつ生活を立て直しています。長男の結婚式にも、以前より明るい気持ちで出席できそうです。

自営業の失敗や税金の滞納は、本当に恥ずかしくて誰にも相談できませんでした。でも、もっと早く相談していれば、ここまで追い詰められることはなかったと思います。同じように税金の滞納で悩んでいる方がいたら、差押通知が来ても諦めずに、すぐに専門家に相談してほしいです。

担当者のコメント

明美さんは、離婚後に一人で子どもたちを育てながら自営業に挑戦され、非常に頑張ってこられた方でした。自営業の経営が厳しくなり、税金を後回しにせざるを得なかった状況は、決して珍しいケースではありません。多くの自営業者の方が、売上の変動により納税が困難になることがあります。

今回のケースで重要だったのは、不動産差押通知が届いた段階でご相談いただけたことです。公売の手続きが開始される前であれば、役所との交渉により任意売却が可能です。差押があっても諦める必要はなく、むしろ早期の対応が解決の鍵となります。

役所との交渉では、任意売却による納税計画を明確に示すことで、差押解除の同意を得られました。売却価格が滞納税金を上回る見込みがあることを説明し、公売よりも確実に納税できることを理解していただけたことが成功の要因でした。次男さんの生活への配慮も含めた総合的なサポートができたことで、ご家族が前向きに再スタートを切ることができました。

税金の滞納は、放置すると必ず差押や公売に進みます。督促状が届いた段階で、できるだけ早く専門家にご相談ください。任意売却という選択肢があることを知っていただき、一人で抱え込まずに解決への道を見つけていただきたいと思います。