相談者様のプロフィール
相談者の情報
森下健太さん(仮)、42歳、神奈川県相模原市南区在住。
元IT企業営業職、現在はフリーランスWebマーケター2年目、年収280万円(会社員時代は520万円)。
妻・麻衣さん(40歳・専業主婦、持病により就労困難)、長男・大輝さん(13歳・中学1年生)、次男・琉生さん(9歳・小学3年生)の4人家族。
物件・ローンの情報
2014年に購入した中古マンション(3LDK、築22年、10階建ての7階)。
購入価格3,200万円、住宅ローン残債2,450万円、月々の返済額8万円、管理費・修繕積立金2万8千円。
査定額は1,850万円前後で約600万円のオーバーローン状態。
ご相談内容
森下さんは15年勤めたIT企業で営業職として働いていましたが、上司との人間関係に悩み、4年前にWebマーケティングのスキルを活かしてフリーランスとして独立しました。妻は「安定した会社を辞めるのは心配」と反対しましたが、森下さんは「今がチャンス」と独立を決断しました。
独立当初は前職のつながりで案件を獲得できましたが、継続的に仕事を得ることは想像以上に困難でした。収入は月によって波があり、平均すると月25〜30万円程度に落ち着きました。さらに2年半前、妻が持病の自己免疫疾患の症状が悪化し、月3〜4万円の医療費がかかるようになりました。体調が不安定なため、妻がパートに出ることも難しい状況でした。
2年前、主要クライアント2社が相次いで契約を打ち切り、新規営業をかけるも景気低迷で企業の広告予算削減が相次ぎ、案件獲得が困難に。月の収入が15万円を切る月も出てきました。住宅ローン8万円と管理費2万8千円、医療費3万円で約14万円が固定費として消え、生活費が足りずクレジットカードのリボ払いやカードローンを使い始めました。気づけば3社から合計180万円の借金を抱えていました。
1年前、ついに住宅ローンを滞納。妻が通帳記帳で気づき、「もう限界。実家に帰る」と。子どもたちの前で激しい口論になり、次男が「パパとママ、けんかしないで」と泣き出しました。その姿を見て、森下さんは初めて事態の深刻さを実感。翌日、妻に正直に状況を話しました。妻は呆然としていましたが、「実家に頼れる状況じゃないし、一緒に考えるしかない」と言ってくれました。
8ヶ月前、妻が「売却して小さい賃貸に引っ越せば」と提案し、不動産情報サイトで調べたところ、同じマンションの売却事例が1,900万円前後だと知り愕然としました。購入時は3,200万円、ローン残債は2,450万円で約550万円のオーバーローン。売っても借金が残ることに絶望的な気持ちになりました。
住宅ローンを5ヶ月滞納した時点で、銀行から競売手続き開始予告の通知が届きました。妻が市の無料法律相談に行き、弁護士から「任意売却という方法があります」とアドバイスを受けました。森下さんはインターネットで情報を調べましたが、「オーバーローン分は自己破産しかない」「フリーランスは破産すると仕事ができなくなる」「相談したら必ず売らなければならない」など誤った情報を信じ込み、なかなか相談に踏み出せませんでした。
3ヶ月前、長男が学校で「お前ん家、差し押さえられるんだって?」と言われて帰ってきました。長男は「パパのせいだ」と部屋に閉じこもり、次男も最近笑顔が減っていました。妻が「もう時間がない。明日電話して」と任意売却の相談窓口の番号を差し出しました。森下さんは独立の判断を誤った自分、家族を守れなかった自分を責め続けていましたが、翌朝、手が震えながら相談窓口に電話をかけました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
まず森下さんご家族の状況を詳しくヒアリングし、住宅ローン以外の借金についても把握しました。フリーランスで収入が不安定なことへの不安を抱えていらっしゃいましたが、「収入形態に関わらず解決策はあります」とお伝えし、安心していただきました。協力関係にある弁護士を紹介し、カードローンについては任意整理の方向で進めることになりました。自己破産ではフリーランスの仕事に支障が出ると誤解されていましたが、資格制限のある職業以外は問題ないこと、任意整理でも解決可能であることを丁寧に説明しました。
任意売却については、競売予告が届いている状況でしたが、まだ間に合うことをお伝えし、すぐに債権者である銀行と交渉を開始しました。査定額1,850万円に対して残債2,450万円、約600万円のオーバーローンとなることを説明し、売却後の残債については現実的な返済計画を立てることを提案しました。
森下さんが最も心配されていたのは、お子様の学校環境が変わることでした。特に長男が中学1年生で、同じマンションの友人から心ない言葉を受けていたため、できれば学区内での転居を希望されていました。そこで、相模原市南区内の賃貸物件を並行して探し、長男の中学校区を変えずに済む2LDKの賃貸アパート(家賃6万5千円)を見つけました。
売却活動では、小田急線沿線の利便性と周辺の生活環境の良さをアピール。築22年という築年数はネックでしたが、管理状態の良さと7階という眺望の良さを前面に出し、購入希望者が見つかりました。最終的に1,880万円での売却が成立しました。
残債約570万円については、債権者と粘り強く交渉しました。森下さんのフリーランスとしての実績と今後の収入見込み、お子様の教育費や奥様の医療費といった必要経費を資料化し、現実的に返済可能な月々1万5千円の分割返済で合意を得ました。これまでの月8万円の住宅ローン返済から大幅に負担が軽減されました。
引っ越しに際しては、お子様の心のケアも重要と考え、長男には「環境が変わるけど、学校は同じだから友達とも会えるよ」と前向きに伝えるようアドバイスしました。売却から転居まで約3ヶ月半、ご家族の生活再建を第一に考えながら進めました。
相談者の声

相談する前は、オーバーローンだと任意売却はできないと思い込んでいました。フリーランスだから自己破産すると仕事ができなくなる、相談したら必ず売らなければならない、相談料も高額だろうと誤解だらけでした。でも実際に相談してみたら、無料で親身に話を聞いてくださり、正しい情報を教えていただけました。
一番不安だったのは子どもたちのことです。長男が学校で嫌な思いをしていたので、転校させたくないと強く思っていました。同じ学区内で賃貸を見つけてくださったことで、長男も次男も同じ学校に通い続けられています。長男は最初「パパのせいだ」と言っていましたが、引っ越し後は少しずつ笑顔が戻ってきました。
妻は独立の時から不安を抱えていたと思いますが、最後は一緒に乗り越えてくれました。今は狭いアパートですが、月々の支払いが1万5千円になったことで、妻の医療費もきちんと払えますし、生活費にも余裕が出てきました。フリーランスの仕事も、精神的に楽になったことで集中できるようになり、少しずつ案件も増えています。
もっと早く相談していればよかったと本当に思います。一人で抱え込んで、間違った情報に振り回されて、家族を苦しめてしまいました。専門家の力を借りることが、こんなに大切だとは思いませんでした。
担当者のコメント

森下さんが初めてお電話をくださった時、声が小さく、言葉を選びながら話されていたのが印象的でした。独立の判断を後悔され、ご自身を強く責めていらっしゃいました。フリーランスという働き方への誤解や、オーバーローンでは任意売却ができないという思い込みが、相談のハードルを上げてしまっていました。
今回のポイントは、競売予告が届いていた状況でも諦めずに対応できたこと、お子様の学校環境を守りながら解決できたこと、そしてフリーランスという収入形態を考慮した現実的な返済計画を立てられたことです。債権者との交渉では、森下さんの現在の収入状況と将来の見込み、ご家族の必要経費を丁寧に説明し、月1万5千円という無理のない返済額で合意できました。
独立やフリーランス転身で収入が不安定になり、住宅ローン返済に悩まれる方は少なくありません。収入形態に関わらず、必ず解決の道はあります。また、インターネットには誤った情報も多く、それが相談を躊躇させる原因になっています。正しい情報を得るためにも、早めに専門家にご相談いただくことが大切です。
森下さんご家族が、これから少しずつ笑顔を取り戻し、お子様たちが安心して成長できる環境を作っていけることを願っています。住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、一人で悩まず、早めにご相談ください。
