相談者様のプロフィール
【相談者の情報】
森田健一さん(仮)、42歳、千葉県船橋市在住。
IT企業の社内SEで、年収は420万円。
妻(40歳・医療事務パート、月収8万円)、長女(12歳・小学6年生)、次女(9歳・小学3年生)の4人家族。現在の会社勤続3年2ヶ月。
前職は大手SIerで15年勤務していたが、激務によるうつ病をきっかけに転職。
【物件・ローンの情報】
2016年に新築で購入した3LDKのマンション(船橋市内、最寄り駅は東葉高速線・船橋日大前駅)。
住宅ローン残債は約3,650万円。
月々の返済は約12万8千円(変動金利、当初0.625%から現在1.2%に上昇)。
現在の査定額は約3,200万円で、オーバーローン状態。
ご相談の内容
健一さんは2022年、40歳の時に心身の限界を感じて転職を決断しました。年収は670万円から420万円へ大幅に下がりましたが、健康を取り戻すためには必要な選択でした。当初は妻のパート収入と合わせて何とかやりくりできていましたが、2024年から変動金利が上昇し始め、月々の返済額が約1万5千円増加。徐々に家計が圧迫されていきました。
貯金を切り崩しながら返済を続けてきましたが、2025年9月、長女の中学進学を控えて制服や通学用品で約15万円の出費が必要になることが判明しました。同じ時期、次女の修学旅行の積立金を滞納していることを妻から打ち明けられました。その夜、夫婦で家計簿を見直しながら話し合っていると、妻が「もう限界かもしれない」と涙を流しました。「子どもたちに申し訳ない」という妻の言葉が胸に刺さり、健一さんは初めて家を手放すことも視野に入れなければならないと実感しました。
10月中旬、通勤電車の中吊り広告で任意売却という言葉を目にし、スマホで検索を始めました。しかし「本当に大丈夫なのか」「家族を路頭に迷わせるのでは」という不安が強く、すぐには行動できませんでした。毎晩深夜2時過ぎまで「任意売却 失敗」「住宅ローン 払えない 末路」などを検索し続ける日々が続きました。検索履歴を消し忘れて妻に見られ、「そんなに追い詰められてたの?」と心配されたこともありました。
決定的な出来事は11月初旬に起こりました。ローンの支払日である5日、口座残高が足りず、初めて引き落としができませんでした。銀行から督促の電話がかかってきたとき、手が震えました。妻に打ち明けると「もう隠しきれないね」と静かに言われ、週末に二人でネットで情報を集めました。健一さんは「マンションを買ったのは、子どもたちに安定した環境を作りたかったから。なのに結局、自分の判断ミスで失うことになる」という自責の念に苛まれました。
それでも、18日に意を決して任意売却専門の不動産会社に問い合わせフォームから相談メールを送信しました。翌日の電話対応で担当者の落ち着いた声に少し救われた気がして、対面相談を予約しました。「もしかしたら、人生がやり直せるかもしれない」という小さな希望を、久しぶりに感じた瞬間でした。
相談所からのご提案・解決までの流れ
初回相談では、まず健一さんご夫婦のお話を丁寧に伺いました。転職の経緯や家族への思い、子どもたちの学校生活を守りたいというご希望をしっかり受け止めました。任意売却の仕組みについて、競売との違いや手続きの流れを分かりやすくご説明し、「任意売却をすると一生ローンが組めなくなる」「すぐに賃貸も借りられない」といった誤解を解消しました。実際には信用情報への影響は5〜7年程度で回復すること、賃貸契約も適切な方法があることをお伝えしました。
債権者である銀行との交渉を開始し、任意売却への同意を取り付けました。健一さんのケースでは、転職による収入減という正当な理由と、これまで誠実に返済を続けてきた実績が評価され、比較的スムーズに進みました。売却活動では、同じマンション内の住民に知られないよう配慮し、内覧のタイミングも平日日中に限定するなど工夫しました。
並行して、お子様の学区を維持できる賃貸物件を探しました。船橋市内で同じ小学校区内の物件を複数ピックアップし、家賃が現在の返済額より大幅に低い物件を中心にご提案しました。最終的に、徒歩15分圏内の3DKマンション(家賃8万5千円)を見つけることができ、長女も次女も転校せずに済むことになりました。
マンションは購入から8年経過していましたが、駅近で人気のエリアだったため、約3ヶ月で買い手が見つかりました。売却価格は3,200万円で、残債3,650万円との差額450万円については、債権者と交渉し、月々2万円の無理のない分割返済計画を立てることができました。引っ越し費用についても、売却時の諸費用の中から一部を確保できるよう調整しました。
引っ越しは長女の卒業式前の3月上旬に設定し、学年末の行事に影響が出ないよう配慮しました。健一さんご家族は、相談から約5ヶ月で新しい生活をスタートすることができました。月々の住居費が約4万円減ったことで家計に余裕が生まれ、次女の修学旅行の費用も無事に支払うことができました。
相談者の声

最初は家を失うことへの恐怖と、家族に対する申し訳なさで押しつぶされそうでした。特に、長女が友達に「うちのマンション、リビング広くていいでしょ」と話していたのを思い出すと、本当に辛かったです。任意売却についても、ネットで調べれば調べるほど不安になり、「本当に大丈夫なのか」と疑心暗鬼になっていました。
相談所に連絡するまでの2週間は、毎晩眠れずにスマホで検索ばかりしていました。でも、初回の電話で担当の方が「お子さんの学区は変えずに済む方法も考えましょう」と言ってくださったとき、涙が出そうになりました。ようやく味方ができた、という安心感がありました。
実際の手続きも、一つ一つ丁寧に説明してもらえたので、不安が少しずつ解消されていきました。債権者との交渉も、自分たちではどう話していいか分からなかったので、専門家に任せられて本当に助かりました。引っ越し先も、同じ学区内で見つけてもらえて、子どもたちは友達と離れずに済みました。長女も次女も、新しい家を気に入ってくれています。
月々の返済額が減ったことで、妻も「少し気持ちが楽になった」と言ってくれました。以前は食費や光熱費を削ることばかり考えていましたが、今は子どもたちに我慢させることも減りました。もっと早く相談していれば、無駄に悩む時間や、初めて引き落としに失敗するような事態も避けられたと思います。
任意売却は「人生の終わり」ではなく、「やり直しのスタート」だと今は思えます。5年後、10年後には、家族で「あの時は大変だったね」と笑って話せる日が来ると信じています。担当の方には、本当に感謝しています。
担当者のコメント

健一さんは、ご家族への愛情がとても深く、特にお子様の環境を守りたいという思いが強い方でした。初回相談のときは、自責の念と不安で表情が硬かったのを覚えています。転職という決断も、ご自身の健康を守るために必要だったことであり、決して判断ミスではありません。そのことをお伝えしたとき、少し肩の力が抜けたように見えました。
今回のケースで特に配慮したのは、お子様の学区を維持することと、同じマンション内の住民に知られないようプライバシーを守ることでした。任意売却では、売却活動が周囲に知られることへの不安を持たれる方が多いため、内覧の時間帯や方法について細心の注意を払いました。
また、債権者との交渉では、健一さんの誠実な人柄と、これまでの返済実績をしっかり伝えることで、比較的柔軟な対応を引き出すことができました。残債の分割返済についても、現在の収入で無理なく返せる金額に設定できたことが、ご家族の安心につながったと思います。
住宅ローンの返済が困難になる理由は、病気や転職、収入減など、誰にでも起こり得ることです。特に変動金利で借りている場合、金利上昇による返済額の増加は予測が難しく、家計を圧迫する要因になります。大切なのは、一人で抱え込まず、早めに専門家に相談することです。選択肢を知ることで、ご家族にとって最善の道が見つかります。
